なあ、父さんの預貯金って本当にこの通帳にあるだけか？
相続のトラブル事例
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弟
ああ
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兄
そんなはずないじゃないか。父さんは公務員だったから、かなりの退職金をもらったはずだろ
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弟
俺にはわからないが、生活費や病院代に使ったんじゃないのか
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兄
いいや。父さんはたしかにパチンコ好きだったけど、そんなに使うはずがないじゃないか。それに、バブルの時期に、持っていた土地が高値で売れて、結構な金が転がり込んだって言ってたぞ
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弟
俺はその話は知らないなあ…父さんはすぐに話を膨らませるタイプだったからな…
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兄
お前が父さんと同居したんだから、一番状況は知ってるだろ？
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弟
日中はほとんど顔を合わせなかったしな…
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兄
（…こいつ勝手に金下ろしてたんじゃないのか…？）
民法で定められている相続の割合
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１２兄
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12
弟
遺産の内容
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預貯金
1,000万円
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土地・建物
2,000万円
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株
0円
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保険
1,000万円（受取人：弟）
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その他
なし
弁護士からのコメント
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兄
こんなにお金が少ないなんて信じられないんです
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弁護士
遺産の預貯金通帳の残高が想定していた金額よりも少ないという場合があります。
本当に本人が使ってしまった場合もありますが，認知症の親と同居して通帳を管理していた親族が，勝手に下ろして使い込んでいたという場合もありますので注意が必要です。なお，認知症の程度が重い場合には，亡くなった方の了解を得ていたとしても，勝手にお金を下ろしたのと同じ扱いになります。
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兄
絶対に弟が父のお金を使い込んだんだと思います！
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弁護士
このような場合には，不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求という権利を亡くなった方が持っていたことになりますので，その権利を相続して行使することになります。
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兄
そうですか…
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弁護士
このような使い込み事案では，まずは，しっかりと調査することが必要です。調査においては，認知症の程度を基礎付ける医療記録等の資料を取り寄せます。また，最後に残っている通帳の残高だけでなく，その通帳の過去の入出金履歴を確認したうえで，お金の出入りを確認する必要があります。さらに，調査の過程で判明した他の銀行口座についても履歴を取得したり，亡くなった方の日常的な生活費などの収支状況も確認する必要があります。
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兄
わかりました
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弁護士
ただ，使い込みについて相手に追及してもはぐらかされることも多く，また，相手が認めない場合には，裁判で争う必要があります。使いこまれている可能性がある場合には，弁護士に相談のうえ，早めに調査・交渉を行うことが望ましいといえます。
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兄